新しい男性のはなし

ヤラミソの話を書いたころ、私はマッチングアプリに登録した。

そこで沢山の男性とやり取りすることになる。

しかし、筆不精の私。

このやり取りが死ぬほどつらい。

中には不躾な質問を平気でぶつけてくる人、やたら顔写真の交換を求める人、唐突に体の関係を求めてくる人…など様々な男性がいる。

如何せん私は経験値が低いもので。

とにかく見知らぬ人と「はじめまして」から会話することが苦痛であった。

でも自分の今を変えたくて私も必死。

 

そんな中でとてつもないイケメンから声を掛けられる。

いや、そんなまさか。

そんなわけがあるまい。

そう思いつつも心躍るのがいままでモテたことのないヤラミソ女の悲しい性。

イケメンとは思えぬ丁寧なやり取りにすっかり心を許してしまい、LINEを交換するに至った。

 

1週間ほどたったころ突然相手がこう切り出す。

「実はこのスマホは会社が支給してくれているものなんです。

 このスマホは会社に返すことになっていて、返した後は他の人が使います。

 普段はガラケーを使っていてこのLINEはもうすぐ使えなくなります。

 だから下記のブログに登録してくれませんか?

 これからそこでやり取りしましょう。」

 

・・・・・・・ん?

完全に「ん?」である。

え、メールアドレス交換すればよくない?

ブログでやり取りって新しすぎない?

ご丁寧にURLまで貼ってある。

 

数時間後、彼から再び連絡が入る。

「ブログに来てくれました?

 もうすぐこのLINE使えなくなりますから。

 登録してくださいね!」

・・・・・・・んんん??

 

怪しい。怪しすぎる。

そう思いながらも基本的に性善説で生きている私。

信じたい。何より相手はイケメン。イケメン信じたい。

だけど、だけども怪しすぎる…。

 

悩んだ私はマッチングアプリ上級者の後輩に助けを求める。

かくかくしかじかで…。

「あ、先輩。それ、業者っすよ。」

 

業者!?!?

考えもしなかった業者説。

後輩は続ける。

「その人、イケメンだったでしょ。」

ドキーーーーッ!!!!!

な、なぜそれを!!!!

「よくあるんですよ、そういうの。

 そうしてゲットしたメアドを出会い系サイトとかに売ったりしているらしいですよ。」

ひ、ひいいいいいいいいいい!!!!

性善説で生きてきた私にとってにわかには信じがたい展開。

 

い、いやでもいい人だったのよ。

会う約束とかもしていたし。

「そういうの、どうとでもできますから。」

ズバッと言ってくれる後輩。

 

それでもどうしても諦めがつかない私。

捨てメアドを作ってコンタクトを試みようとする。

「やめたほうがいいですよ。危ない。」

 

…とまあこんなかんじで後輩の説得もあり、コンタクトは断念することになった。

彼からの連絡はそれっきり。

でもLINEにこれまではなかった不正アクセスが立て続けに起こるようになる。

マッチングアプリで他の被害者を出さないためにも運営側に通報しようと試みるも時すでに遅し。

彼のアカウントは忽然と消えていた。

 

怖いなーーー怖いなーーーー。

マッチングアプリ怖いなーーー。